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_PASSION_

私は自然と対話し、探求し、美の本質を見出すことを目指しています。

土や釉薬は、自然から贈られた素材です。私はいつも自然と対話しながら陶芸作品を生み出しています。土壌の性質は、その土が由来する地理的な地域によって全く異なります。手で触って形を作っていくと、土が何を望んでいるのかが見えてきます。直接二人で対話をしているような気がします。

私は、これまで様々な地域の土に触れてきましたが、個人的に深く興味を持ち、また先代からの徹底的な教えから日本のあらゆる土の特徴を感じとることができるようになりました。

今では、多くの世界の陶芸の現場を訪ね、海外への冒険をしてみたいと思っています。私自身の技術と京都での”savoire-faire”が新しい意味と美しさを発見することに貢献できると信じています。

その先に私の進むべき情熱があります。

「モノとしての造形美を探求したい」
京焼・清水焼窯元・陶葊4代目当主であると同時に、2019年からは、土渕善亜貴として個人でも作品づくりと向き合っています。

▶陶芸家として
陶器の元となる「土」は産地によって持ち味があり、それぞれに個性があります。土を目の前にしたときに感じることや触った感覚を大切に、土と対話をしながら、良さを最大限に生かすための表現方法を模索します。そして作品をつくる際は、シンプルに「モノとしての美しさを探求したい」という思いに突き動かされています。窯元を継ぐためにプロダクトデザインも学びましたが、陶芸家としては、あえてデザインされていない美しさを表現したいと考えています。
宋時代の完成されたシンメトリーの美しさ。そして一方で「民藝」のように、ふだんの暮らしで使われることを前提にした「用の美」ならではの美しさ。一見すると、両者は相反するものかもしれません。ですが、私は作品づくりを通して、その両方をあわせもつ造形美を表現できたらと考えています。

▶作家としての探求心
創業100年を迎える「陶葊」では、積極的に最先端の技術を用いて、今の時代だからこそ作れる器づくりに取り組んでいます。ですが、陶芸家として作品を手がける場合、私はあえてクラシックな技法を取り入れることが多々あります。土の良さを生かすには、どんな技術を用いるのがベストなのか。天目、青磁、美濃焼やペルシャ陶器など、日本のみならず世界に伝わる技術を用いて、さまざまな表現に挑戦しています。出来上がった作品だけを見ると、私の作風はバラバラに見えるのかもしれません。ただ、そこにあるのは、土の声を聞き、土がなりたい形を表現したあと、どんな技術を組み合わせたら、最高のものができるのかという探求心だけなのです。

▶尽きることのない陶芸の奥深い魅力
器を作り上げる工程の中で最も緊張するのは、窯を開ける瞬間です。土の癖を捉え、釉薬の調合や焼成温度、時間など、毎回、経験から導き出されたベストなやり方を採用します。ですが、すべては焼き上がりを見ないことには分かりません。もちろん失敗することもあります。ですが、中には計算を超えた、想像以上の焼き上がりになることもあります。作るたびに驚きと発見、楽しさがあります。ここに陶芸への尽きない魅力を感じています。

▶展望
中国・宋時代に発祥した「曜変天目」。途絶えてしまった技術の謎を解明するべく、父の代から取り組んできたことを、私自身ライフワークの一つとして、研究を重ねてきました。この経験から、いったん技術が途絶えてしまうと、再現することは至難の業であると身をもって知りました。そんな思いもあって、クラシカルな技法を取り入れた作品づくりにも取り組んでいるのかもしれません。2019年には曜変天目を独自の手法で再現することに成功し、その副産物として、また新たな表現方法を発見することもできました。古典の再現を通して、新たなオリジナルが生まれることもあるのです。
陶芸の道に進み20年余り。これからも、初めて土に向き合ったときの新鮮な気持ちを忘れず、自分の中から湧きでるものに真摯に向き合い、作品づくりに取り組んでいきたいと思っています。

土渕善亜貴