中国・南宋時代(12〜13世紀)の建窯(福建省)で作られた「曜変天目茶碗」。漆黒の中に星のように浮かぶ斑紋が特徴。角度を変えてみると、斑紋の周囲が紫や黄色などの光彩となって現れる。その美しさはまるで「小碗の中の大宇宙」とも称されるが、この技術は以降途絶えてしまう。現在、完全な形で存在する曜変天目は世界に3碗のみ。いずれも日本にあり、国宝に認定されている。茶碗の最高峰と位置づけられる曜変天目だが、斑紋が現れる理由は不明、再現は不可能とされてきた。これまでに多くの研究者や陶芸家が謎の解明に挑戦。土渕は2017年から取り組んできた。通算3,000〜4,000通りもの釉薬の調合を試したほか、焼成温度や酸素濃度を調整できるように窯を2回作り直すなど、研究に研究を重ね、2年かけて再現に成功。この茶碗で、第41回京焼・清水焼展にて最高賞・経産大臣賞を受賞した。


(土渕コメント)

当初、100の碗を焼いて曜変天目になるのは1〜2個でした。現在は80個焼いて1〜2個と完成度は徐々に上がってきています。私のライフワークの一つとして、これからも取り組み続け、さらに完成度を高めることで、国宝に近づけたいと思っています。曜変天目茶碗は朝と昼といった見る時間帯や、手に取る場所によって、さまざまな表情を見せてくれます。手のひらに宇宙を感じさせる曜変天目。ぜひ実物を前に、その美しさに触れてほしいと思います。

  • 直径:16.5cm、高さ:6.5cm